先日スペイン人のクルシージョ(レッスン)を受けました。
理由はスペインに行くより安いし、近くで生の踊りを観れるから。ただの推し活ではないか・・・。
スペイン人クルシージョを私は数えるほどしか受けたことはないのですが、人は変われどスペイン人の先生に毎回言われることがあります。「これはスペインの踊り手みんなが日本人の踊るフラメンコを見て思うことなのか?」と感じました。
これから意識しよう。と思ったのでまとめてみました。
振り付けをコピーするんじゃない
どうしても違う国の踊りなので形が合っていれば良いと思ってしまい、足の運び・右か左か・前か後ろかにこだわってしまうのを見て言われたことがこちら。
日本人は「白」か「黒」か、「正解」か「間違い」かでものを見がちですが海外の方は「雰囲気(空気感や印象)」というものも含め全体を見ていると感じます。それゆえ踊りに「気持ち」が入っていないと必ず「パソの移動もロボットの行進みたいだ」と言われます。
「別に前でも後ろでもいい、今はソレアをやっている。ただ動く時に重たく動かないと曲の空気感が台無しだ。ただ振り付けのコピーをしてるだけではいけない。ギターの余韻や曲のアクセントにあっていれば右でも左でもクロスしてればどっちでも良いんだ。右か左にこだわってふわふわ動いてはいけない。もっと体の使い方や雰囲気を取ってほしい。あなた達は私のコピーではない。あなたはあなたのフラメンコを踊らなければならない。フラメンコはその人その人の人生を踊るもの。フリは同じようなものでも各自みんな違うはず。体の中にある思いはみんな違うでしょ?それをちゃんと表現しなさい。」
動きが軽い・曲に合う表現を
フラメンコにはいろんな曲があります。フラメンコの曲はアンダルシアに辿り着いた民族が苦しい生活を歌ったものが多いので暗く重たいものが多いです。それゆえ、「曲の持っているイメージを台無しにしてはいけないよ」という注意を受けました。
「明るい曲は笑顔で踊れば良いけど、重たい曲も笑いながら軽快に踊っていたらマヌケに見える。フラメンコは踊りのみではない。曲の空気感を大切にして、歌とギターの響きをよく聞き、踊りはそれを台無しにしてはいけない。移動で足を踏み出す時も行進みたいにポンポンロボットみたいに足を動かさない。鉛を動かすように重たく慎重に踏み込んで、歌ぶりこそ歩くだけで汗だくになる程エネルギーを使うんだ。」
基本はとても大切
最近はインターネットが普及して、いろんな踊り手を見ることができます。それを見た練習生は完成されたものだけを見て真似する人が多い。その根底にある基本をすっ飛ばして。私たちがそのような印象を与えたのかどうかはわかりませんが何かしら伝えたいことがあったようです。うわべのテクニックだけみてはいけないと言いたかったのでしょうか?
「YouTubeで若い人たちが新しい表現を試みているけれど、派手なパフォーマンスだけ見せて満足してはいけない。確かに足を早くダイナミクに見せたらすごいと思わせることはできるがもっとシンプルな動作で観客を惹きつけなければならない。プロはみんな基本的なことを習得した後に新しい試みをしている。基本を飛ばしてはいけない。100小刻みに動かすよりも一つのゴルぺで観客を虜にする。そんな踊りをしなさい。回転の時には重心は動かず上に伸びるように回らなければいけないし、歩いている時もかなずしも音を鳴らしている訳ではないし足の出し方も気をつけなさい。体の中の軸がどっしりあるように動きなさい。」
ギターや歌、パルマ周りの音をよく聴く
フラメンコは踊りが主役ではなく歌やギターが主要な芸術です。日本では踊りがフラメンコだと思われがちですが、むしろ歌がフラメンコで踊りは派生したようなもの。
生の演奏では打ち合わせとは異なるいろんなズレが生じることもあります。レッスンでもリハーサルでも何回踊ってもカンテの気分で毎回違うとか、先生が決めた振り付けの尺が周りの音色と会わないこともしばしば。ただ群舞の時はみんなで合わせないといけないので取り決めなど必要ですが。
ギターの余韻が続いているのに次の振り付けに進むとか、コンパス通りのカウントで音を無視してエスコビージャがはじまるとか乱暴な運び方はいけないと言われました。今日はレッスンだけどパソの習得にこだわってギターの音色をないがしろにしてはいけない。周りの音を聞いて丁寧に丁寧に踊って欲しいと。頭の中で数を数えているのがわかると。
優しく歌っているのに強く激しく足を打つことはしない。歌の雰囲気や空気を読んで踊ることが重要だと言っていました。
まとめ
なかなか言われたことをすぐにできるかはわかりませんが、表現する上でこれから意識していきたいと思います。人前で踊るなら見ている人に何かしら伝わるものがあるよう、自己満足で終わらないよう謙虚に誠実に踊るよう心がけたいと思います。
- 振り付けはツール、順番や左右前後にこだわって曲の雰囲気を雑にしない
- 曲に合わせた動き方、踊り方をする
- 基本は何より重要、常に意識せよ
- テクニックを見せつけて満足しない、シンプルなことで観客を惹きつけられるように踊る
- ギター・歌・パルマ・踊り、全部の中の一部として周りの音をよく聞いて表現しなさい
練習生の日記ですが誰かのヒントになれば嬉しいです。
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